寺院に持ち込めなかった食べ物とは<雑学倶楽部>



寺院に持ち込めなかった食べ物とは<雑学倶楽部>

その場がど~んともりあがる雑学の本
とにかく話をつなげたい雑学<第3章>

寺院の門前に「不許葷酒入山門」と、漢文で刻んだ戒壇石を見たら、そこは禅寺か律宗の寺院です。「葷酒山門に入るを許さず」と書いてあるのは、「酒は山門に入れ、許さざれども山門に入る」という意味ではありません。

そう解釈するのは勝手な逆転の発想です。じつは、修行の浄念を乱すような飲食物は山門の内には持ち込んではいけないと書いてあります。

葷とは葷菜のことで、においの強い野菜や味の辛い野菜をいいます。いわゆる、なまぐさ食品を使った料理は仏門ではご法度なのです。

ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ノビルなどは強精になるし、酒は血行をよくしますが、大脳を直撃すると欲望の抑制機能をマヒさせます。すべて煩悩を呼び覚ますもので、よろしくはありません。よって、山門にぎょうぎょうしく刻み込み、これらの野菜や酒の持ち込みをきびしく戒めたのです。

ところが、人間、禁じられるとよけいに破りたくなる気持ちは、昔もいまも変わりません。仏門に入りし者も人間。抜け道を考えつきました。

たとえば、においのもっとも強く、しかも精力もつくニンニクを食べたいがために、呼び方を変えてしまったのです。ニンニクの語源を調べると、大昔は、ニンニクを於保比流(蒜はピリピリする)といっていましたが、仏に仕える人々は、こっそり忍び食いしました。そこから、隠語で「忍辱」の字を当て、「今夜もにんじょくで一杯やっか」などといい、食べていたという説がまことしやかに伝わって、今日に至っています。

「講談社+α文庫」所収

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