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社会派推理小説というジャンルを確立させた巨匠松本清張。その出世作は、昭和27年(1952)の芥川賞受賞作『或る「小倉日記」伝』でした。
この作品、じつは直木賞の候補作品としてノミネートされていました。ところが、選考会の席上で委員の永井龍男(作家)が「これはどうみても芥川賞向きである。そちらへ回したらどうかと思う」と発言したのです。
当時は、大衆小説系の直木賞が先に決まり、日をおいて純文学系の芥川賞選考会が開かれていました。そこで、こうした永井提案が実現できたわけです。
『或る「小倉日記」伝』は芥川賞候補に急きょ変更され、しかもみごとに受賞作となりました。いかに作品がよかったか、ということですが、突然浮上した候補作を短時間で読んで、高く評価した芥川賞の選考委員たちも立派。
ただし、その後の松本清張が直木賞的フィールドで活躍したのを考えると、永井龍男の提案が正しかったかどうか、疑問は残るところでしょう。ちなみに、エンタテインメント作家として知られる五味康祐(1931〜1980)、宇能鴻一郎もスタートは芥川賞受賞でした。
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