機長の錯覚は正常ゆえのミスなのか


 旅客機のパイロットの話で、とても怖いと思うことがあります。「暗夜で星と地上の灯火の区別がつかなくなることがある」とか、「完全に逆さの状態で飛んでいた」とか。

 こういう話を聞いたりすると、人間の感覚は当てにならない、墜落事故が相次ぐのもむべなるかな、と思ってしまいます。ベテランパイロットでも、次のような錯覚を起こすことがあるといいます。

 目視着陸の場合、滑走路の幅を見間違い、高度を誤るミス。たとえば、パイロットが着陸に慣れている空港の滑走路の幅が150メートルとします。たまたま着陸しようとした空港の滑走路の幅が100メートルだった場合、どのような錯覚をするでしょうか。

 パイロットは自分の高度を滑走路の幅である程度判断でき、同じ高度でも滑走路の幅が小さく見えると自分の高度が高いと判断します。このため高度を下げすぎることがあります。逆に、滑走路の幅が広いと実際の高度を低く判断し、滑走路内にオーバーシュートしてしまう可能性があるのです。

 また、滑走路の手前の傾斜状態によってもミス(錯覚)がひそんでいるといいます。傾斜が手前のほうに低くなっていると高度が高いと判断してしまい、逆に傾斜が高くなっていると高度が低いと判断してオーバーランしてしまうのだそうです。

 こうした症状は、パイロットが人間として正常であるために起きるミスです。したがって、錯覚による事故を起こさないようにするには、「人間より計器指示のほうが正しい」という現実を知るまで訓練を重ねることで、それが「計器を信頼する」近道だそうです。

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