「お流れちょうだい」の意味は


 会社の宴会などで、「社長のお流れをちょうだいした」などといって、1人でうれしがっている平社員がときどきいます。

 こういう輩を、別名「ごますり社員」と呼びますが、昔は宴会での酒のマナーとして、ごく当然の作法だったのです。その説明には、室町時代の話が必要になります。

 当時の『酒飯論絵詞』という文献をひもとくと、料理人や武家の酒宴の席が描かれています。それを見ると、大きな盃に酒を注ぎ、それを各人が回し飲みをしています。肴は各人に1皿ずつ置いてあります。

 鼓や笛を打ち鳴らし、なかには興が乗り、裸踊りをする者もいたようです。現在は、カラオケが鼓や笛に変わっています。公家、武家や僧侶まで、毎日酒宴をくり広げていたようで、当時の日記がそのようすを伝えています。

 「お流れちょうだい」というのは、いま流にいうと、社長が飲む盃の酒から、社員一同の盃に酒を移し、一人ひとりが前に出て、それをありがたくいただいて下がる、というもの。高貴な方のお流れを、丁重にいただくのです。ですから、ごく自然で、ごますりでもなんでもない酒席での作法の一つでした。

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