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「昭和天皇の和歌」 田所 泉著 創樹社 (244p) 1997.12.15 1,890円 ![]() |
![]() 「気持ちを率直に表す」のが、昭和天皇が記者会見の内で答えた作歌の姿勢だというが、ここに収録された269首、まことにわかりやすく、喜怒哀楽が率直に表現されているというのが、著者も含めて大方の印象だろう。 少年時代の念を持ち続けた 構成は序章で動機と方法が語られ、「天」の章、「地」の章、「人」の章、「声調」の章、「心」の章の5章立てで実際の和歌の紹介、解釈、時々の世相がつづられている。付として「『天皇の陰謀』論」(1973)が収められている。 著者は日本新聞協会の卒業生だが、中学時代(戦後直ぐ)に少数派の天皇制護持・国粋派の「右翼」だったという。そんな士が天皇巡行の折に自ら「熱きものこみ上げて来ぬ」と歌を詠んだが、それは本当のことではなく、その思いがこの著の動機の一因となっている。 いくさとどめえざりし |