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賭・金・性の東西実話集 「楽聖ベートーベンの丁半」 井崎脩五郎著 双葉社(264p)97.7.10 1,400円 |
もはや競馬予想家の領域を超えて週刊誌評論家、タレント・ウオッチャーの感もある井崎大先生の快著。歴史を繰り、東西を渉猟し、3部制各26編計78編にまとめた、運あるいは数奇な時に、翻弄または意図して踏み込んだ人々の逸話集で、部分的であろうが、ニュースのその後も、独自に取材あるいは複数文献に当たるという手法で作られた丁寧さが光る。表題の楽聖ベートーベンの場合、両親との離別や聴力障害など不幸の種を背負いながらも、今に残る名曲の数々が、良き周囲の人々のバックアップを受け、生み出されたこと、そしてウィーンで友人が持っていた偶数しか出ないグラ骰(仕掛けのあるさいころ)を振り続け、ついに奇数を出し、「ほら、出たじゃないか」と言い、運命に負けないその意志が紹介されている。 お得意の競馬の例では、あちらの福永洋一こと天才スティーブ・コーゼンの.234という高い勝率に着目したウイングなる御仁が、倍法で大勝をもくろんだが、日本でもニュースとして取り上げられたコーゼンの歴史的な110連敗にぶち当たり大損をしたという教訓深い例が紹介されている。振り返って見ればそれは運、ただし明日がいずれかは知れない、もって銘したい。(修) |