今月の本棚

「だから猫はやめられない」

吉本由美著
 KKベストセラーズ(174p)1998.4.5
495円

 
猫の飼い主歴40ン年、インテリア・スタイリストの著者初のネコエッセイで95.1刊行の文庫版。主たるター坊はご主人の男遍歴の生き証人、こそこそ飼いから、98年現在は猫可のマンション暮らしとのあとがきが足されているが、猫好きの男、猫嫌いの様々な時々の男のカゲと共に語られる。しつけ方や猫まんまの話など具体的に役立ち情報もいれられているので、目次をつまんでたどっても便利。 

 例えば、「マンション猫の七つ道具」の[猫寸大の心]では猫にとっての一口大、猫の高さにまでかがんでの触れ合い、駆け上るための木など初歩的な点だが大事な指摘で、トイレの作り方や躾方、犬と違って家に着く猫の引っ越しの仕方……にも何匹かの経験者ならではのもの。私事ながら、筆者の庭に現れる裏ん家のクロは辺りが危険なのでいつも紐付きで紐を外すと怒るという。それが庭に出られる保証だからだ。同種の話が語られるが、今日、マンション猫の方が幸せかも。(修)